東京都港区にある結工房 田嶋宏行記念美術館は、日本の江戸時代にさかのぼる金属加工技術「錦銅器」の最高峰とされる伝統工芸品を展示する美術館です。
結工房 は、創業者の田嶋宏行氏が1985年に開業した工房で、その後、数多くの受賞歴を誇る錦銅器の名工として知られるようになりました。田嶋宏行氏は2019年に亡くなりましたが、彼の息子で結工房の現代錦銅器のトップである田嶋宏志氏が、この美術館を開館させています。
美術館の建物は、伝統的な日本建築の要素を取り入れた現代的なデザインであり、美術館へ訪れた観光客にも、美術品の鑑賞だけでなく、建築物自体にも楽しんでもらえます。
田嶋宏行記念美術館には、約60点以上の錦銅器が常設展示されています。展示品は、田嶋宏行氏が手がけた錦銅器、そして、彼が修行した先輩である先代3名、現代錦銅器の作品を展示しています。
銅器の表面に赤銅・黄銅・公方銅・紫銅を使い、各部分にそれぞれ異なる色彩をつけ、装飾を施しているのが錦銅器の特徴です。これらの表面装飾技法を使って作品を表現するため、錦銅器は見る角度や光の当たり具合によって見え方が変わるのも魅力のひとつです。
田嶋氏は、錦銅器の表装技術に定評があり、漆器・陶器・木工など多岐にわたる作品の表装を担当していました。そのため、異素材や異分野にも精通していた田嶋氏の錦銅器には、他にはない独特の洗練された美しさがあります。
また、美術館内には、企画展示スペースもあります。こちらでは、随時、錦銅器以外の美術品を展示しています。展示テーマは時代・分野など多岐にわたるため、訪れるたびに新しい発見があるかもしれません。
美術館内には、田嶋氏が制作した遺品展示室もあります。ここでは、制作過程の写真が展示され、携わっていた工匠たちの証言も聞くことができます。また、田嶋氏の修行先である先輩たちの作品についても解説があります。
結工房 田嶋宏行記念美術館のおすすめポイントは、まず注目すべきは、当然錦銅器の美しさです。細かい装飾を施しているため、拡大鏡が用意されています。そのため、錦銅器をとても近くまで見ることができ、細部まで見ることでさらに美しさを感じることもできます。
また、美術館の建物自体も、外観から内部まで細部にわたって美術が施されています。建築物だけでも見るだけでなく、手触りや音まで楽しみながら、錦銅器と一緒にアートを楽しむことができます。
最後に、美術館は見学のみでなく、錦銅器の作品を購入することもできます。美術館内にはギフトショップがあり、現代錦銅器や、記念品として購入できるグッズなどが販売されています。結工房 田嶋宏行記念美術館を訪れたら、記念に一つ手に入れるのも素敵な思い出になるでしょう。
結工房 田嶋宏行記念美術館の入館料金
大人850円 中学生以下400円
結工房 田嶋宏行記念美術館の詳細情報